BtoB営業とは?BtoCとの決定的な違いと成果を出し続ける組織の作り方
(画像=koro/stock.adobe.com)

売り上げが思うように伸びていかない、あるいは特定のエース営業パーソンだけに頼りきっている。そんな組織のあり方に頭を悩ませ、焦りを感じている経営リーダーは少なくない。

そもそも企業が企業を相手に商品やサービスを提供するBtoB営業とは、個人向けの取引とは違い、何人もの担当者が関わる複雑な決裁プロセスや動く金額の大きさが特徴のビジネスである。

買い手の情報収集のしかたが変わり、昔ながらの泥臭いアプローチだけでは通用しなくなった今の時代だからこそ、個人の勘やこれまでの経験に頼るやりかたには、明確な限界が訪れている。

いつまでも属人化から抜け出せない組織を、どのようにして仕組みで動く強い集団へと生まれ変わらせればよいのか。

本記事では、経営層やエグゼクティブに向けて、BtoB営業の根本的な本質をあらためて整理するとともに、データと仕組みをくみ合わせて成果を最大化させる組織づくりの要諦を、余すことなく解説する。

この記事の要点:

  • BtoB営業は複数のステークホルダーが関与するため、論理的なアプローチが不可欠
  • インサイドセールスなどの分業体制を敷くことで、営業活動の効率を劇的に高められる
  • 成果を出す組織づくりには、属人化を排除したプロセスの標準化とデータの活用がカギ

BtoB営業とは何か?BtoC営業との決定的な違い

BtoB営業の定義と経営における重要性

BtoB営業は、企業の存続と成長を支える強固な収益基盤を構築するためにきわめて重要な役割を果たす。顧客が企業であるため、一度契約が成立すれば長期にわたる安定的な取引へと発展することが多く、経営の予測可能性を高めることに直結するからだ。

経営者やリーダーは、単なる営業テクニックではなく、自社の持続的な成長戦略の一環としてBtoB営業を捉える必要がある。

意思決定プロセスと検討期間はどう違うのか?

BtoB営業とBtoC営業の最大の違いは、購買に至るまでの意思決定の仕組みとそれに要する期間にある。具体的な違いについて、比較表で整理する。

比較項目BtoB営業(企業間取引)BtoC営業(消費者向け取引)
主な顧客企業、組織個人、家族
意思決定者担当者、部門長、役員、社長など複数本人、またはその家族
検討期間数ヵ月〜1年程度(長期)数分〜数日程度(短期)
購買動機経済的合理性(投資対効果、業務効率化)個人的な感情、好み、必要性
(編集部作成)

ただし、BtoBであっても、消耗品の追加購入や単価のきわめて低い商材の場合は、担当者一人の判断で即座に決裁されるなど、例外的なケースもある。しかし原則としては、合理的な理由と複数の承認ステップが必要なビジネスであることを前提に戦略を立てなければならない。

単価規模とLTV(顧客生涯価値)の観点

BtoB取引は一般的に、1案件あたりの取引単価が数百万から数千万円、時には数億円にのぼることも珍しくない。そのため、顧客獲得コスト(CAC)が高くなったとしても、1顧客がもたらす生涯価値であるLTV(顧客生涯価値)を最大化させることが経営上、重要な指標となる。

ただし、SaaSをはじめとするサブスクリプションモデル(月額課金型)の場合、初期の導入単価は低く抑えられる傾向がある。その場合は、長期的な継続利用を前提とした顧客成功(カスタマーサクセス)によるLTVの最大化が最優先課題となる。

BtoB営業

現代のBtoB営業における主要な手法とアプローチ

「インサイドセールス」と「フィールドセールス」の分業体制

現代のBtoB営業では、限られた経営資源を効率的におこなうため、役割の分業化が進んでいる。

電話やメール、ウェブ会議ツールを用いて非対面で見込み顧客を育成する「インサイドセールス」と、具体的な商談や提案、クロージングをおこなう「フィールドセールス」を切り分ける手法だ。

この体制により、フィールドセールスは購買意欲の高い顧客にのみ集中できるため、組織全体の営業生産性が劇的に向上する。

サブスクリプション時代に不可欠な「カスタマーサクセス」

製品やサービスを販売して終わりとする従来の営業スタイルは、今の時代には通用しにくくなっている。

特にシステムやサービスを継続利用してもらうビジネスモデルでは、導入後に顧客が成果を出せるよう能動的に支援する「カスタマーサクセス」(CS)の存在が不可欠だ。

解約率(チャーンレート)を低く抑え、アップセルやクロスセルへとつなげるアプローチが求められる。

特定の重要顧客を狙い撃つ「ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)」

すべての企業に対して一律の営業活動をおこなうのではなく、自社にとって価値の高い特定の重要ターゲット企業(アカウント)をあらかじめ選定し、その企業に最適化したアプローチを組織的に展開する手法がABMだ。

経営資源をターゲット企業に集中投下することで、無駄な営業コストを削減し、大口受注の獲得確率を高めることができる。

BtoB営業を成功に導く具体的なプロセス

リード獲得から受注・オンボーディングまでの5ステップ

BtoB営業で成果を安定させるためには、全体の流れをプロセスとして分解し、管理することが重要だ。一般的な5つのステップを以下に示そう。

  1. リードジェネレーション(見込み顧客の獲得): ウェブサイト、展示会、セミナーなどを通じて、自社に関心を持つ企業の情報を集めるステップ
  2. リードナーチャリング(見込み顧客の育成): メルマガの配信や定期的な情報提供により、顧客の購買意欲を徐々に高めていくステップ
  3. リードクオリフィケーション(購買意欲の高い顧客の選別): 予算や導入時期などの条件をもとに、今すぐアプローチすべき顧客を絞り込むステップ。
  4. 商談・提案(営業による具体的な提案とクロージング): 顧客の課題に合わせた最適なソリューションを提示し、契約を結ぶステップ
  5. オンボーディング・カスタマーサクセス(導入後の定着支援): 契約後に製品やサービスのスムーズな利用を促し、顧客の目標達成に伴走するステップ

従来のアウトバウンド営業と最新のインバウンド営業の使い分け

外へのアプローチを仕掛けるアウトバウンド営業(テレアポやダイレクトメールなど)と、顧客側から見つけてもらうインバウンド営業(ウェブサイトでのコンテンツ発信やSEOなど)は、状況に応じて使い分ける必要がある。

現代のBtoBビジネスにおいては、顧客が営業パーソンと接触する前に、ウェブ上で情報収集や比較検討の大部分を済ませているケースが珍しくない。そのため、インバウンド営業による仕組みづくりは不可欠だ。

しかし、新規開拓において市場を迅速に切り拓き、確実な接点を作るためには、ターゲットを絞り込んだ攻めのアウトバウンドアプローチを適切に組み合わせるハイブリッドな戦略が、依然としてきわめて有効であることが分かっている。

BtoB営業で成果を上げる人材に必要なスキルとは?

決裁者を納得させる論理的思考力と仮説構築力

経営層やリーダーが採用・育成において重視すべき第一のスキルは、顧客のビジネスの本質を見抜く論理的思考力だ。感覚的な提案では、企業の厳しい決裁を通過させることはできない。事前に顧客の財務状況や市場環境を分析し、「このような課題があり、自社サービスを導入すればこれだけの投資対効果(ROI)が見込める」という精度の高い仮説を構築する力が求められる。

複数の関係者を巻き込むステークホルダー・マネジメント力

BtoB取引では、窓口の担当者が納得していても、上司や他部門の反対によって頓挫することが多々ある。優秀なBtoB営業パーソンは、顧客社内のキーパーソンが誰であるかを見極め、その人物を納得させるための材料を窓口担当者と一緒に用意するなど、組織全体を巻き込むマネジメント能力に長けている。

この社内政治や合意形成のサポートができる人材こそ、組織に引き入れるべきだ。

自社のBtoB営業組織を強化するためには何から始めるべきか?

属人化を脱却し、営業プロセスを標準化する

多くの企業が抱える課題が「ハイプレイヤー頼みの営業」だ。一人のスター営業に依存する組織は、その人物の離職や体調不良によって一気に崩壊するリスクがある。

誰が担当しても一定水準の成果が出せるよう、営業トークや提案資料、アプローチのタイミングなどをマニュアル化し、プロセスそのものを標準化することが組織強化の第一歩となる。

SFA(営業支援システム)やCRMを活用したデータドリブンなマネジメント

勘や経験に頼るマネジメントから脱却し、数字に基づいた客観的な管理をおこなうためには、ツールの活用が欠かせない。SFAやCRMを導入することで、どの案件がどのステータスにあり、どこにボトルネックがあるのかがリアルタイムで可視化される。

営業支援ツールを導入してプロセスを可視化し、組織的なデータ活用をおこなっている企業は、導入していない企業と比較して、営業活動の効率化や売上目標の達成率が向上することが、多くのグローバルな調査データ(米Salesforce社による「Salesの現状」調査など)からも実証されている。

よくある質問:BtoB営業について

Q. BtoB営業は未経験の社員でも成果を出せるか?

A.成果を出すことは十分に可能だ。営業プロセスが標準化され、適切な教育プログラムが用意されていれば、未経験者であっても一定の再現性を持って受注へとつなげられる。

Q. BtoB営業が「きつい」と言われる理由は何か?

A.検討期間が長く、関係者が多いために、成果が出るまでに時間がかかるからだ。また、取引金額が高額であるためのプレッシャーや、競合との激しいコンペティションが要因となることも少なくない。

Q. テレアポや飛び込みといった従来型の手法は現在でも有効か?

A.ターゲット企業が明確な場合には、現在でも有効な手法である。ただし、無差別におこなうのではなく、事前に仮説を構築したうえでピンポイントにアプローチを仕掛ける戦略性が求められる。

まとめ:BtoB営業の強化は企業成長の要である

BtoB営業の本質は、合理的な判断をおこなう組織に対して、論理的かつ継続的な価値を提示し続けることにある。

個人の能力に依存する営業から、仕組みとデータに基づいた組織的な営業へと移行することこそが、これからの時代に企業が生き残り、成長を遂げるための要となる。

まずは自社の営業プロセスを見直し、どこに手を入れるべきか、標準化への一歩を踏み出して欲しい。